2011年01月16日
最後の母ちゃん愛してるよ
呼吸が困難になった時に、「気管切開」という治療をすることがあります。
喉から気管に直接通り道を作って、そこにチューブを入れて、呼吸ができるようにする方法です。

右の図の白いチューブを「気管カニューレ」と言います。
50代の男性Aさんは癌の末期で在宅療養中でした。
新しいタイプの「気管カニューレ」をにめて入れ替えた直後に、発声練習をしてもらいました。
隣で、高齢の母が心配そうに見ていました。
Aさん 「あー」「あいうえお」
私 「本日は晴天なり」
Aさん 「本日は晴天なり」
私 「母ちゃん愛してるよ」
Aさん 「母ちゃん愛してるよ」
母 「・・・」
母は照れてしまって、目のやり場がないような様子でした。
どちらかといえば、無口で、シャイなAさんは、「母ちゃん愛してるよ」とは言えないだろうな。
と思いながらも、冗談半分で言ってみたのですが、意外にもAさんがあっさりおっしゃったので少し驚きました。
このころも、末期癌によるかなり体重減少はあるものの、気管カニューレを付けたまま、たばこを吸ったり、魚釣りに行ったりされてはいました。
しかし、その後、徐々に体力的に衰えがみられるようになり、Aさんは、昨年、ご自宅で母や兄が見守る中、50年余の生涯を閉じられれました。
あの時声に出した「母ちゃん愛しているよ」は、生涯、最初で最後だったのかもしれません。
そして、はずみで出た言葉ではなく、Aさんの心の奥底からの母への感謝が、ぎっしりと詰まった一言だったと思います。
喉から気管に直接通り道を作って、そこにチューブを入れて、呼吸ができるようにする方法です。

右の図の白いチューブを「気管カニューレ」と言います。
50代の男性Aさんは癌の末期で在宅療養中でした。
新しいタイプの「気管カニューレ」をにめて入れ替えた直後に、発声練習をしてもらいました。
隣で、高齢の母が心配そうに見ていました。
Aさん 「あー」「あいうえお」
私 「本日は晴天なり」
Aさん 「本日は晴天なり」
私 「母ちゃん愛してるよ」
Aさん 「母ちゃん愛してるよ」
母 「・・・」
母は照れてしまって、目のやり場がないような様子でした。
どちらかといえば、無口で、シャイなAさんは、「母ちゃん愛してるよ」とは言えないだろうな。
と思いながらも、冗談半分で言ってみたのですが、意外にもAさんがあっさりおっしゃったので少し驚きました。
このころも、末期癌によるかなり体重減少はあるものの、気管カニューレを付けたまま、たばこを吸ったり、魚釣りに行ったりされてはいました。
しかし、その後、徐々に体力的に衰えがみられるようになり、Aさんは、昨年、ご自宅で母や兄が見守る中、50年余の生涯を閉じられれました。
あの時声に出した「母ちゃん愛しているよ」は、生涯、最初で最後だったのかもしれません。
そして、はずみで出た言葉ではなく、Aさんの心の奥底からの母への感謝が、ぎっしりと詰まった一言だったと思います。
Posted by neriya at 22:46│Comments(0)
│在宅ケア